「見て、あのこ可愛い」
「俺のカノジョになってほしいー」

人混みの雑音から所々聞こえてくる
自分への賛称の言葉に、その少女───

神埼 莉歩 (カンザキ リホ)は
眉をひそめる。

莉歩はただ歩いているたけでも人目をひいてしまう。

しかし、その視線に気付かないふりをして
早足であるく。

今日から高校生の莉歩は
ただの制服を着ていても華やかに見える。

──それが、莉歩の長所であり、短所でもあるが。