あれから何年もの月日が過ぎたけど、私はあの日から誕生日にも一度もあの夢を見ていない。
 姉の幽霊にも会っていない。
 だけどせめて、姉の最後の言葉には応えてあげたい。
 思い返せば、いつも夢の最後に呟いていたのもこの言葉だったのだろうか。



『…しあわせになってね』



 ー…後でお母さんに見せてもらった姉の写真は、夢の中の少女によく似ていた。


【完】