「わぁ!その傘、私と同じだね!」


 私は、ポツポツと降る雨の音とその声に、ハッとして顔を上げた。
気付けば目の前に目をキラキラさせた少女が一人立っていた。
どうやら少女は私に話しかけているようだ。

「あ、おねーちゃん、信号緑だよ?早く行こうよ」

 ここは…横断歩道? …なんで私はこんなところに?
 いきなり起きた非現実的な出来事に、つい手の力が緩み、持っていた水色の傘を落としそうになってしまう。

「…おねーちゃん?どーしたの?」

 私が何も言えずにいると、キョトンとした顔で、5,6歳くらいの幼い少女はそう言って私を見上げた。