「母の日親子撮影会だって。うける」
真理恵ちゃんが、立て看板を見て指をさす。
「えっ?なんでなんで?」とタローくんは意味がわかっていない様子だ。
「だから、母の日だってば。脳みそあんのあんた?つうか、そんな行事忘れてたわ。タロー、写真とってきなよ、一人で」と真理恵ちゃんは間髪いれず突っ込む。
テンポよくしゃべる2人は下手な芸人よりも相性よりも相性が良さそうで、言われるまま列の最後尾に並ぶと笑いをかっさらった。
同時に、母の日だからって手紙やケーキを焼いた自分があそこにいる子供みたいに幼い人に思えて恥ずかしくなった。
高校生になると、母の日なんか忘れてしまう行事なのかもしれないと思えてならなかったから。



