固く閉ざされた心の容器の蓋はいつか開くのかな。

彼女を見てそう思った。

「次は。次は、違う人好きになって、幸せになろうね!」

ううん、いつか開くよ。

だって、やっぱり、愛されたことのない人はいないんじゃないかって思うから。そう思いたいから。

心から、そう思った。

あの子に幸せになってほしいと。

彼女は、少し微笑んだ。

太陽の光を浴びなくても、その笑顔は、わたしに綺麗だなと思わせるのに充分だった。

いつか、きっと、開く。





水月ちゃんの話を思い出す。

水城くんの小さい頃の話。

わたしは、なにも知らずに、ひどいことを言った。

誰も好きじゃないくせに。

なにが彼のことを知りたいだ、わたし。

もう謝ることもできない距離を、わたしが作ってしまったのに。