みんな、ときどきひとり


だから、言ってしまったんです。

修くんが初恋の男の子で、ずっと、好きだったと。

高校で、再会できて嬉しかった、と。

今も好きだと。

あんなに悩んで書き直して書いた手紙の文章は、何ひとつでてきませんでした。

文字とは対照的な下手くそな発音で、いつも思ってた単語を並べて言うのがやっとでした。

それでも、言えた。

だけど。やっと、言えた。

好きって。

ありがと、と修くんは言いました。

でも、言われたんです。

俺は小学生じゃないし。三田村も小学生じゃない。変わったよ?

三田村が好きなのは、俺じゃないんじゃない?

もう三田村が好きだった俺じゃないと思う。

好きなんか勘違いでしょ、と。

ひどく冷たい声になにも言えなくなりました。

頭の中には、いっぱい疑問符ばかり浮かんでしまって。

なんで、そんなひどいことが言えるの?

好きって思っているのは、わたしなのに、なんでわたしの気持ちを決めつけて言うの?

それは迷惑だから?

好きっていう気持ちが欲しくないから?

わたしの気持ちさえも否定するの?

こんな人だったの?

失恋したほうがまだ良かったって。

わたしの中で何かが崩れていく音がしたんです。

まるで、ずっと積み上げてきた大切な積木を誰かに崩されたような。

そんな音。