みんな、ときどきひとり

それから、手紙のことも少し気になっていたので、訊きました。

その手紙を書いたのが、なんでわたしだと思ったの?って。

彼は読んでいないのなら、わかるはずもありませんし。

唯一、手紙を読んだあなたが、修くんに教えたんだろう、と思っていましたから。

そしたら、こう言ったんです。

手紙の宛字、見覚えあると思ったから。

三田村さ、癖のない綺麗な字書くから。タイムカードの名前見たとき、そんな気がしただけ。なんとなく。

驚いて、言葉もでなかったです。

だけど、もっと驚いたのは次の言葉でした。

小学校のとき硬筆だかで賞とってなかったっけ?

そう言いました。

覚えてたのって、訊いたら、覚えてたけどと、言ってくれて。

まるで、胸の中に草原が広がったみたいだった。

すがすがしい気分というか。

こんなわたしのこと覚えててくれてたんだ。

わたしは、修くんの中にいたんだ。

そう思えることが嬉しかったんです。

だから、つい、言ってしまったんです。

手紙を書いたのは、わたしだと。

そしたら、手紙なくして読めなかった。ごめんなって、謝ってくれて。