だから、やっぱりなにも言えなかったんです。
わたしが黙ったままでいると、見切りをつけたのか、なければいいけど、と意外にあっさり帰ろうとしました。
それから、具合大丈夫なの?学校、来てなかったけど、と言ってくれて、驚いたんです。
わたしが来ていなかったこと、知っていたということは、毎日、顔を見に来てくれてたのかな、なんて思いもしました。
心配してくれているのかな、と考えるとすごく嬉しかったし。
でも、あなたが大事だから、わたしに優しくしておけば、手を出さないとか思ってそうしていたのだと思い直しました。
だって、世の中って、わたしの為じゃなくて、誰かの為に行われてることばかりですから。
きっとそうだと思いました。
修くんは、あなたのことが好きなんだと。
わたしなんか、誰にも気にされることもない。
クラスのほとんどの子がわたしの名前さえ、知らないんです。
あなたがわたしを探していたときもそうだったでしょ?
同じクラスの女の子に、ミズキなんていないです、ってハッキリ言われましたし。
名前がわからないから、自信のない顔でわたしに声をかける男の子もいたりします。
それに、一週間休んだって、心配してくれる子もいなかった。
休み時間なんていつも一人が当たり前だし。



