みんな、ときどきひとり


んーっと苦しそうな声をだしたのは、手嶋くんだった。

「ご、ごめん」

彼の顔が近づいてきたから、思わず手の平で彼の口を押えてしまったんだ。

慌てて手を離した。

「ひっでえ。優菜ちゃん。そんなに嫌?」

「嫌っていうか。やっぱ、好きじゃないと出来ない」と少し俯いて答えた。

恥ずかしくて顔をあげられなかった。

「そっか。そうだよな、ごめん」

急に真顔になって謝る。

「ううん。ごめん」

あんな態度とるなんて、最低だ、わたし。

気をひこうとしてるみたいだよ。

あんな姿見せたくなかった。

「俺、自分で言うのも変だけど、振られたことないし、誰とでも付き合えてきたんだよね……何か、こんな気持ち初めてだわ」と彼が肩を落とした。

「優菜ちゃんが、忘れられない男ってそんないい男なわけ?」

いい男?

水城くんの姿を思い浮かべる。

素っ気なくて。

無愛想で。

だけど、本当はすごく優しい人。

どこがいいとか言われたら一言で言えないけど。

理由なんかなくても、こんなに好きだ。

「うん。いい男だよ」

「そっか。そんな顔させる男にゃー敵わねえのかな」

「へ?どんな顔?」

「すげー幸せそうな顔してた」

思わず手で両頬を押さえてしまった。