みんな、ときどきひとり


わたしは笑えずに困惑した。

その表情を見て母は、「優菜、ダメ?」と言った。

その、瞬間。

〝捨てられる〟

その言葉が頭に過ぎった。

だから、首を左右に振った。

もう雨の中、ドアが開くのを待つ思いなんかしたくない。

それを見て、新しいパパは「よろしくね」と安心したような顔で笑った。

初めてのパパは色んなところに連れてってくれた。

遊園地とか、ドライブとか、子供向けのショーとか。

でもひとつも楽しくなかった。

ここで、捨てられてしまうんじゃないかって思ったから。

それから、わたしには弟が出来て。

大という名前がついて、母も父も可愛がっていた。

わたしもその中に紛れ込んで、可愛がっていた気がする。

弟が出来てからは、仲良くやっていた。

面倒だってよく見てた。

だけど、母の溺愛ぶりを見せつけられると日増しに捨てられる感が強くなった。

結局、前よりいい子でいることを選んだ。

勉強だって、運動だって、お手伝いだってなんでもやった。

だけど、頑張っても頑張っても、大には敵わなかった。

大は無条件でも愛されて。

わたしは、愛されているのかもわからなかった。

愛されてるんじゃないかなって思いたかった。

どんなに、頑張ったって家族の中には入れないんだ。

そうだ。

だから、あの日、わたしは……。