「ええっと。これは、クラスの出し物で……その」
もじもじと言いわけの言葉を口にする。
「見ましたよ」
「えっ?」と彼の顔を見つめた。
「先輩がいちばん目立ってました」
ふっと目尻にしわを寄せ、顔がくしゃっと柔らかい顔になった。
言葉に出来なくて。
見ててくれた。
それだけでこんなに嬉しくて。
その笑った顔が、こんなに嬉しくて。
布団をぎゅっと握りしめた。
「じゃ。先生すぐ戻ると思いますんで」と言って、水城くんは椅子から立ち上がった。
ここでさよならしたら、また、話せなくなる。
「待って!」と、わたしは呼び止めた。
「はい?」
彼は立ち止まり振りかえる。
「あのね」
呼び止めたけれど、何から話していいのかわからなくて言葉に詰まってしまう。
だけど、誤解されたままなんてやっぱり嫌だ。



