梨花と亮太は高1から1年位付き合っていたんだ。
華奢な梨花と小柄な亮太は、小さくて並んでるとほんとに可愛くてお似合いだった。
思い出そうとしなくてもあのときの2人の姿は浮かんでくる。
教室で楽しそうに話す亮太の優しい視線。
梨花だけが呼ぶ「亮ちゃん」という名前。
手を繋いで帰る2人の後姿。足元で伸びる影は、寄り添うようにくっつく。
梨花の薬指には、誕生日プレゼントのシルバーリング。
クリスマスには、2人で行ったイルミネーション。
バレンタインに手作りチョコを貰って、亮太が嬉しそうな顔をして笑ってた。
それから。
それから………。
梨花が亮太に別れを告げたあとの、1人でいるときの何気ない表情。
それは、どこか寂しげに見えた。
何も言ってこなかったけど、わたしの目にはそう映ったんだ。



