「それは、やきもちじゃない?」

ポツリとその気持ちをこぼすと、美和子がそう言い切った。

「えっ?やきもちってことは、わたしが水城くんのことを好きってこと?」

まさか。まっさか。それは違うでしょ。

「ってことだよねぇ」と梨花も頷いている。

「まさか。だって、水城くんのことよく知らないし」

机の天板に手をついて、抗議してしまう。

「そんなもんだ恋は」

まあ確かに恋愛経験の多い美和子にそう言い切られると説得力はあるけれど。

「でも。もし恋しちゃったら、大変そうだよね。そんな男」と梨花が呟く。

「大変そうって?」

「んー。わたしは、恋に興味ないって男、彼氏にするにはすごいパワーいると思うよ。
きっと、中途半端な感情で付き合おうなんて思わないから。
その感情に囚われ過ぎていて新しい恋をするには、よっぽどこの人ーって思えない限り無理なんじゃないかなぁ、なんて思っちゃうもんね」

「だって。頑張れ、優菜」

美和子が人ごとのように肩をポンポンと叩いて励ましてくる。

「ていうか、好きって決め付けないでよ!」と怒ったわたしを見て2人は笑った。