駅ビルを出て、少しだけ街を歩いたけど、何となくすることもなくて、亮太と駅前で別れた。
「じゃ、明日な」
「うん。じゃーね」
バス停へと向かっていく、私より小さな背中を遠目で見送った。
駅の改札の中に入り、ホームで電車を待つ。
携帯で時間を確かめた。あと10分か。
少し待つな、と顔をあげた。
19時の電車のホームは帰宅のラッシュで混雑していた。
会社帰りのサラリーマンに、携帯と睨めっこしている女子高生。
みんな、ひとりでいるのに。
わたしとなにも変わらないはずなのに、喧騒の中にいるせいか、わたしだけ、ホームという絵の中から浮き彫りにされたみたいな、寂しさを感じた。
それから、小さく溜め息が漏れた。
ほんとは気づいてたんだ。
亮太が今日、わたしを誘ったのは訊きたかったことがあったからってこと。
合コンのこと気になってたんだと思う。
それは、わたしに彼氏が出来ないから、気になる、なんて話じゃないってわかってる。
梨花のこと、忘れられないんだろうな。
ずっと、そんな顔してる。
梨花と亮太が別れてからずっと。
亮太は。
今日も。
今も。
好きなのだろうか。
梨花のことを。



