「そうだね。優菜と違って。わたし、誰とでも付き合えるしね」
「ごめん、嫌味に聞こえた?そういう意味じゃないんだけど」
「じゃあ、どういうこと?軽いなぁとか思って見てたんじゃないの、ずっと」
部屋の中が張り詰めた空気に変わり、静まり返った。
「わたしたち、友達じゃないしね。優菜の好きな人と付き合ってたしねぇ。そりゃ、軽いと思われるよね」
「そういうつもりじゃ」と否定しようとしたわたしの言葉に被せて梨花がまた、話しだした。
「わたしね、中学校のとき友達いなかったの。気づいたら、いつもひとりだったんだ」
梨花の長いまつ毛がまばたきで揺れる。
美和子が言っていた梨花の噂話を思い出した。
『中学校で遊んでいて女子に嫌われてた』って話を。
「なんでかわかんないけどね。
友達の彼氏とか好きな人に好かれたりすることが多くて。
でも、そんなのわたし悪くないじゃん。
なのに断ったわたしが誘惑したみたいな雰囲気になってさ。
とりあえず、弁解して友達に戻ったりして。
最初、必死だった。
でもね、結局心のどこかで赦してないんだよね、みんな。
友達に戻ったと思っても気がついたら、ハブられたり、影で悪口言われたり。
結局、友達なんかひとりもいなかった」
一気にそこまで話すと、息を小さく吐いた。
「だから、ひとりでいたいの」
ゴミ箱に勢いよくゴミを投げ入れるみたいに言い捨てた。



