梨花の部屋に来たのは3回目くらいだけど、相変わらずきれいに整頓されている。
ピンクをベースにした可愛い部屋。大好きなくーまのぬいぐるみがベットの上からわたしを見つめた。
梨花は紅茶をテーブルに置くと「どうぞ」と言った。
「ありがとう。梨花、元気そうだね?良かった」
「うん。別に具合なんか悪くなかったから」
「そうなんだ。じゃあ」
じゃあ、どうしたの?って訊きたくなったけど、この前の喧嘩が原因なのかと思ってしまい口をつぐんだ。
それを見据えたかのように、「この前のことは関係ないよ」と言った。
「彼氏に振られたの。それだけ。落ち込んで休んでたんだ」
「えっ。彼氏って、付き合ったばっかだよね?」
「うん。彼氏、わたしと付き合う前から女がいたみたいでね。二股されてた」
梨花は紅茶を一口飲みこんだ。
「二股?梨花を?最低!ありえない」
こんなに可愛くていい子なのに。振る意味がわからない。
「ねっ。最低だよね。わたし、見る目ないのかな」
ふっと、遠くを見る。化粧をしない顔でもその顔は可愛かった。
「見る目ないっていうより、梨花すぐ付き合っちゃうじゃん。相手のことをもっとよく知ったほうが良かったんじゃ」
言いかけて、はっとした。言い過ぎたって。



