「それだったら、110番という強い味方が」

「頼りになんないなぁ」とまた、笑ってみた。

「まあ、なんでもいいですけど。助けられることなら、助けたい」

笑っていた顔が少し真顔になってしまう。だって、そんなこと言われたことがない。

きっと、うん。欲しかった言葉。

またどうして、今日も彼は簡単にそんなことを言うんだろう。

「それは、寂しいときでもいいのかな」

だからか、つい零れてしまったこんな言葉が。

前を見ていた水城くんは、顔をわたしのほうへと向ける。

同じ目線で照れることもなく「いいですよ」と言った。

心が。

朝感じた重さより、少し軽くなるのがわかった。

「そ。ありがとう」

わざと、素っ気なく言って、前を向いた。

彼も、もう前を向いていてわたしのことなど見ていなかった。

きっと、寂しいから。

きっと、わたしは寂しいから。

こんな言葉が、わたしの心を軽くするんだ。

それが、嘘でも。嘘でも。

心の中で、嬉しいと言っている。

ひょうひょうとした彼の顔を横目で少し見つめてみた。