みんな、ときどきひとり





「おいしい!」

「だろ?ここうまいんだよ」と言った亮太の顔は少し得意気だ。

放課後、亮太と駅ビルの中にあるケーキバイキングにやってきた。

1時間半、980円で食べ放題というお手軽な値段のせいか店内は女子高生や若い女性が大半を占めている。

「よく知ってるね。さすが甘党人間」

ミルフィーユをフォークで刺しながら言う。パリパリと生地が皿にこぼれる。

「お前もじゃん」

「でも久しぶりだよね?一緒にケーキ食べにくるのって」

「そうだなぁ。昔はよく食べにきたよな」

思い出したような顔で亮太は言った。

「食べてたよね。そうだ。あのとき、通いすぎて太ったんだ」

「つか、元に戻ってないんじゃねーの?」

笑いながら、亮太が私の頬を優しくつねった。

「ほら、未だにつまめる。デブ健在」

「うわっ。最低。人をデブ扱いして」

わたしが怒った顔をすると、亮太はまたからかいの言葉を投げてくる。

高1の夏以来だろうか、2人きりで遊ぶのは。

久しぶりに2人で遊んでも話題は尽きることもなく、あのときと同じでこんなくだらないやりとりを繰り返す。

何も変わらないままだ。