みんな、ときどきひとり


「でも、あれだね。水城くんにも好きな人出来るといいね」

「洟かみながら言う科白ですか」

「しょうがないじゃん。出るんだもん。あっていうか、わかった!好きな人に気づける方法」

「なにを思いついたんですか?」

明らかに目は疑っている。

「好きなことってなに?」

「ないです」

「ひとつくらいあるでしょ?」

「昼寝?」

適当に言ったなと思って睨むと目を逸らされた。

「昼寝って……好きなスポーツとかさ。まあいいや。じゃあさ昼寝をしようと思うのに心が上の空になったり、相手の顔が浮かんできたり……なんだろう。好きなことが手につかなくなったら、その人のことが好きってことだよ?」

「昼寝より好きってことですか?」

「うーん。ちょっと違う気もするけど。まあ昼寝より好きってはっきり思えるならこれは恋だって、わかりやすいかもね」

「昼寝と比較される身になりたくないですね」と彼が呟く。