────視界には、真っ暗な空とチラチラと降る、綺麗な雪。
今は冬で、クリスマスイブで、雪が降ってて……、寒くて寒くて仕方がない筈なのに、俺は熱い。
正確には、腹が熱い。
そっと、目線を空から自らの腹へと切り替えると、ナイフが刺さってるのが見える。
ドクドクと血は流れ、真っ白い、汚れの知らない雪は、赤く紅く染まっていく。
意識は朦朧とする。
霞む景色のなか、俺は、俺を刺した人物へと視線を向ける。
彼は、俺のかつての親友は、顔を真っ赤にして、唇を噛み締めている。
それは、歓喜に震えてるようにも見えるし、怒り狂っているようにも見えるし、泣きそうなのを堪えているようにも見える。
それが結局なんなのかは、俺には分からないけど、一言、伝える。
震えていて、苦しくて、痛くて、意識が朦朧として、言葉にはなってないかも知れないけど、俺は伝わっていることを願う。
「…だ、い……じょ、ぶ…、か……、?」
伸ばしかけたては、相手に届くことなく、地面に落ちた。
__高校三年生の冬の雪の降るクリスマスイブの日、俺は生涯を終えた。