桜井君って、頭は良くても――


「里美ちゃん昨日まで休んでたでしょ? 苦しがってるかと思ったら、普通にいつもと変わんないしビビった!」


一般常識に欠けてる気がする……。


「症状軽かったし、いつもそんな感じだから……」


「いつも!? じゃあ体弱いの? 大丈夫?」


桜井君は階段を上り切った私を見て、心配そうな顔をする。

さらには、カレーまで持ってくれようとした。


「いや大丈夫だよ! それに風邪とか、皆よくあることだし」


「皆ぁ!? 体育祭大丈夫かよ!?」


「そんなんじゃなくて! 風邪をひくのが普通なんだよぉ!」


全然理解してくれない桜井君に、つい投げやりに言ってしまう。


「――そっか。あ、着いたよ。誰に持ってくの?」


桜井君は少しの沈黙を破って、私の持ってるプレートの下に手をつける。