カタン



まだ持ったままの机に当てられた小さな衝動に、顔を上げた。


「何? 皆、宿命のライバルとでもなったの?」


少し笑いながら他を見回した桜井君は、もう次の授業の準備をしている。

チャイムが鳴って桜井君がどこかへ行くと、私は桜井君によって作られた、机の繋ぎめをそっと撫でた。



「なんか懐かしいね、この3人」


斜めにいる小岩井君が言う。

たしかに、中学に入ってからあんまり小岩井君と話してないや。


「そういえば隆史。草太君に聞いた? あの朝の……」

「あれの話はなしー」


千香ちゃんの言葉を、いつの間にか戻っていた桜井君が遮った。


「あれは……うん。無かったことにしよう!」


途切れ途切れに話す桜井君。


「マジでどしたの!?」


「え、何が? 俺なんも知らんし」


分かりやすくとぼける桜井君に、どうしても知りたい小岩井君。

二人のやり取りに思わず笑みがこぼれてきた。