あれから10分くらい泣いて、
結局最寄り駅まで送ってくれた。
「ほんっとに迷惑かけてすいません。
ありがとうございます。」
「ほんとに気にしないで。
1人で帰れる?大丈夫?」
「大丈夫です。ありがとうございます。 」
「気をつけてね、じゃあね。」
私の頭をぽんぽんして去っていく男の人は
どことなく佐野に似てた。
ぽんぽんされた頭がまだ暖かい。
彼は私の中のヒーロー。
なんかよくわかんないけど
見ず知らずの私を助けてくれた彼に
“また会いたい”って思って。
あんな嫌なことされたあとなのに、
なんでか胸の奥が暖かい。
これが私と彼の最初の出会い。
