一め惚れ

旭妃がいなくなってあたしと先輩の間に沈黙が流れる。


それを好機ととったのか、今まで遠巻きに観察していたお姉さん方の一人が近づいてきた。


「あなた、時間ある?少し付き合ってくれないかしら」

髪を緩く巻いて、近くのお嬢様学校の制服を大胆に着こなした強気そうな美人だった。


「…今日はちょっと」

「そんなこと言わずに…ね」


上目遣いに吐息を漏らしながら…
完璧だ!あたしならソッコー落ちる!


「はぁ。…なら言うけど、アンタ香水キツすぎ。そんなに塗りたくっても変わんないよ。匂いが移るから早く遠くにいってくれないか」


その声は、確かににっこり可憐な笑顔の夏木先輩から漏れていた。

あたしは、自分の目を、耳を疑った。


だって、目の前の先輩はこんなに笑顔なのに…?