一め惚れ

生徒会と言えば、マンガでよくあるエリート集団でイケメン揃いで…。

そこは、さすがなわけだけど。

でもそうだとすると、学校行事とかも担ってるんだよね。

卒業式とかでは挨拶なんかしちゃうんだよね…
えっと、今まで知らなかったってことはもしかして、別世界に迷い混んじゃった…?


全く知らなかったことに驚き、震え、あたしの頭はこんがらがる。

完全にキャパオーバーです。


「あんた、今日の終業式も妙に静かだと思ったら…寝てたわね」

「…あ」

図星だった。

育ち盛り、睡眠欲が衰えることなく常に盛んなあたしたちのお年頃なら皆そうだと思う。

つまらない行事や授業は全て寝てしまおう。

どうせ内申になんて反映されないのだから。


そういう考えのあたしは、4月から思い出せるだけでも入学式、体育祭、終業式、生徒総会…などなど…悉く席についたとたんおやすみなさい。

そういえば、いつも寝てたら終わってたっけな…。


先輩という存在を1年間知らなかったことに落胆して、あたしはうつむいた。


すると、

「あ」

今度は先輩の声がした。


「君、思い出したよ。いっつも集会で最前列でぐっすり眠る勇気ある眠り姫」


先輩の口からあたしのことを姫とよぶ単語が出てきたことに反応して、照れてしまう。


そんなあたしとは対照的に「ね、眠り姫…ふっ」と旭妃は必死に笑いを堪えようとする。