今日も何もないまま過ぎていくのだろうと思っていた。
ずっと憧れていた高校生になって1年。
憧れていたブレザーとチェックのスカートに身を包んで、学校にいけば何かが変わる…なんて漠然と思っていた。
しかし、現実は厳しい。
ただ、学校までの道のりが長くなっただけで、わたしの日常にはさしたる変化も見られない。
いつもと変わらず過ぎた放課後。
駅までの帰り道をあたし・結城 光履(ユウキ ヒカリ)は、親友である水城 旭妃(ミズキ アサヒ)と共にとぼとぼと歩いていた。
今日で1年生も終わりだというのに、ついに何もなかったね…そんな他愛もない話をしながら。
そんなあたしたち二人を、誰かが追い越した。
その人物によって、あたしの単調な世界は一変する。
フワッと、風と一緒にいい臭いがした。
梅の匂い。
「あ、夏木先輩!」
先を目指して遠ざかっていた背中を、旭妃が呼び止めた。
「はい!」
その人は元気のいい返事をして、辺りを伺う。
それを見て、旭妃が再度呼び掛けた。
「夏木せんぱーい!」
正直、あたしは旭妃がここまで大きな声を出しているのを初めて見た。
いつもおっとりとしていてどちらかと言えば静かな旭妃がここまで積極的なんて…
それほど嬉しいのかな、と暢気に考えていた。
ずっと憧れていた高校生になって1年。
憧れていたブレザーとチェックのスカートに身を包んで、学校にいけば何かが変わる…なんて漠然と思っていた。
しかし、現実は厳しい。
ただ、学校までの道のりが長くなっただけで、わたしの日常にはさしたる変化も見られない。
いつもと変わらず過ぎた放課後。
駅までの帰り道をあたし・結城 光履(ユウキ ヒカリ)は、親友である水城 旭妃(ミズキ アサヒ)と共にとぼとぼと歩いていた。
今日で1年生も終わりだというのに、ついに何もなかったね…そんな他愛もない話をしながら。
そんなあたしたち二人を、誰かが追い越した。
その人物によって、あたしの単調な世界は一変する。
フワッと、風と一緒にいい臭いがした。
梅の匂い。
「あ、夏木先輩!」
先を目指して遠ざかっていた背中を、旭妃が呼び止めた。
「はい!」
その人は元気のいい返事をして、辺りを伺う。
それを見て、旭妃が再度呼び掛けた。
「夏木せんぱーい!」
正直、あたしは旭妃がここまで大きな声を出しているのを初めて見た。
いつもおっとりとしていてどちらかと言えば静かな旭妃がここまで積極的なんて…
それほど嬉しいのかな、と暢気に考えていた。
