「じょ、冗談に決まってるじゃん…!
なに本気にしてんだよ?
て、てゆうか童貞じゃねぇから!!
哀しくもねぇし、全然フラフラ
してねぇよっ!
か、彼女は今、いない…けど…。」

彼はこういうやりとりを自分から
言い出しては、よく墓穴を掘る。
慌てると鼻がひくひくと動くクセは
昔から変わっていないようだ。

相変わらず子供みたいな奴…。
と心の中で考えながら、
…僕もか。と再び心の中で考え、
息を吐くようにフッと笑う。


「いいよなぁ、お前は…。
あんな綺麗な人をお嫁さんに
もらえてさ。
本気で羨ましいよ、いや、マジで。」

「そんなことないよ、ていうか〝リク〟
だって、一応かっこいいんだしその気に
なれば彼女の一人や二人作れるさ。」

「駄目だよ、俺なんて。
全然できねーもん。今好きな人も
いないしな。
大学生の頃一回付き合ってたけど…
そっからいないしさあ。」

「…え、大学生の頃に彼女がいた
なんて話、初めて聞いたんだけど。」

「あれ…?言ってなかったっけ?
ほら、あの子だよ、あの子。
高校生の頃に…」
『ジュンっっ!!』