「なに?お前もしかして
結婚するのが嫌なわけ?」

「…そういうわけじゃないけど、
何か実感が沸いてこない自分が
いるんだよな。」

「ふうん…。
俗に言うマリッジ・ブルーって
やつですか?
大変ですねえ、才色兼備な妻をもつ
夫さんの気持ちは。」

僕の愚かな友人はわかりやすい程、
皮肉めいた言葉を言い放ち、
僕を苛つかせる。


「それはどうも。未だ彼女も居らず、
ずっとフラフラしている哀しい童貞さん
は、やはり言う事も違いますね。」

僕は、彼の言葉を言い包めたかのように
受け流し、その倍以上の皮肉たっぷりの
言葉でにっこりと笑いながら
返してあげる。
もちろん、彼は面食らったかのような
顔をしていた。