「皆さんって誰だよ…」

高校生の頃に彼女と会話をした時も
確かこんな感じであったが、
歳?を経てもなんら変わらず、
いやむしろ以前よりも茶目っ気に
磨きがかかっているように思えた。
だが、僕は彼女の静かで美しい
イメージも知っている。
だから尚更愛しく見える。
これがギャップ萌え
というやつであろうか?


「皆さんは皆さんだよ。
それ以上でもそれ以下でもない皆さん
なんだよっ?」

「…例えば?」

「例えば?…うーん、そうだなあ。
あ!隣町にある八百屋のおじさんとか
どうかな?」

「誰だよっ!」

「…。」

「…。」

『ぷっ、あはははははは』

気づいたら二人揃って笑っていた。
こんな何気ない会話がとてつもなく

ー楽しい。
本当に好きな人と一緒にいると
こんなにも楽しいのか。

僕はそんなことを考えながら
彼女との会話をただ純粋に
楽しんでいた。
どうせ夢なのだ。
ならば少しでも幸福に浸っていよう。

その部屋に先ほどの冷たさはなく、
むしろ暖かく感じられるほどに
〝幸せ〟という名のベールに
包まれているかのように見えた