…とりあえず、僕はただぼんやりと
歩き回るのをやめ、天原 瑞稀を
探すことに決める。
まだまだ聞きたいことは
山程あるからだ。

先刻までは泥沼に浸かったように
重かった足は、まるで天使の羽が
付けられたかのように不思議と軽く
なっていった。
当然、自然と足並みも速くなる。


「天原…どこだ…。」

僕は無我夢中で彼女を探す。

ー会いたいー。

今、僕の気持ちはこの一言で
表されるだろう。
そして、ようやく彼女らしき
人影を見つけた矢先のこと…。


「天原ぁー!!」

僕は腹の中に溜め込んでいたもやもやを
全て出すかのように声を振り絞り、
呼び止めたが、彼女は
気がつかなかったのであろうか?
こちらの事など意を介さずに
階段を降りていった。
当然、彼女をやすやすと
見逃してたまるかと、
彼女を追いかける。

気づけばさっきまでは早歩きで歩いて
いたのにも関わらず、いつの間にか
全力疾走をしていた。
そしてようやく彼女の後ろ姿を
捉えたと思ったその瞬間ー。









ーガラガラガシャンっっ!!!ー