「どう…かな?」

純白のドレスを纏った
一夜限りのプリンセスは、顔を赤らめ
少し照れたように尋ねる。


「うん、とても綺麗だよ。」

僕は全く臆することなく
答えることができた。
心の底からそう思ったからこそ、
変に恥ずかしがることも
なかったのだろう。


「ありがとう…。うれしい…。」

彼女はとても嬉しそうにそう答えた。
よほど感動したのだろうか、
目には涙の雨溜まりができており、
今にもこぼれてきそうであった。
彼女のそんなところも可愛らしく、
好感がもてる。

ーなのに何故、僕は彼女を
愛せないのだろうー…。

この時ばかりは自分自身の愚かさや
情けなさについて悔やまれた。

梨沙に申し訳ないと何度も心の中で
唱える。
だがしかし、奥底では先ほどの天原 瑞稀
との会話のことが頭から離れずに
残っていた。