天使のはしご




窓の向こうの人へ。


こんにちは。
窓の向こうの人さん。

私は、あなたの名前を知らない。

あなたの年齢も、何も知らない。

でも確かにあなたと私の縁は結ばれた。

あなたと逢えてよかった。
本当に楽しくて、幸せだった。


でもね、私はもうあなたのこれからに触れられない。

あなたがどんな大人になって、

あなたがどんな恋をするのか、

私は、知ることができない。



だって、私、死んでるだもの。

49日前に男の子を助けようと思って、道路に飛び出したの。

あなたが夕日の綺麗な時に話してくれた人、あれ私よ。

びっくりよね。

確かに私は一生の時に恋はできなかった。

でも、天国に行く前に、私でいれる本当の最後の時に、私はあなたに恋をした。


名前も知らないあなたを好きになった。

あなたには迷惑なだけかもしれないけど

私は、死んでからあなたに逢って、死んでからあなたに恋をして、良かった。


なによりも叶わない恋だけど、
すぐに消えてしまう恋だけど、
誰よりも透明で綺麗な恋だった。



あなたには私は何も残らない。

それでいいの。
それがいいの。

ありがとう。
窓の向こうの人さん。



八十島 泉