キミは知っていたのかは分からないけれど、丸見えだった下着が、立ち上がると同時にスカートに隠れて。代わりに膝小僧の血が僕の目に映った。
「わ、痛そう」
大きく顔を歪めずにキミの膝小僧を見ながら言った僕に、キミは。
「うへ?」
これから何百回と聞く事になるそれの、記念すべき”はじめてのうへ?”だった。
向こう側では新入生の名前がマイクを通して聞こえてくる。
「あー!せっかく治ったのにー」
この時の僕は勿論キミが日常茶飯事どころか毎日転ぶ子なんて知らないわけで。
だから、キミはブレザーの内ポケットに消毒液と絆創膏を常備していた事も、知らないわけで。


