「むあああああん、ぶ」
「ひま!」
「あーあまた転んだー大丈夫かあ!」
僕の後にキミを見つけた二人の傘(コウタの傘は靴棚に入れてあった僕の置き傘だけれど)が、小さくなっていくのを暫く空けて眺めていた。
その後、どうしてかいつも通りにしていたくて、歩いていったんだ。とてもゆっくりとね。
「ひまちゃんこれ使いな」
雨に隠されていくたくさんの背中の中で、キミの居る場所だけが色を持っていた。
やっとキミの顔がきちんと見える距離にまで歩いていった時には。
「ぬああありがとうござまふ」
マヤマさんに傾けてもらった傘の下で、コウタがさも自分のタオルの様に差し出した僕のタオルを受け取っていたね。
「ひま、どうして来たの。」
「熱下がったしご飯も食べたからあ」
「馬鹿。」
朝のコウタのパーマは崩れてしまっていたけれど、顔に付いた汚れをマヤマさんに拭き取ってもらうキミの癖っ毛は、不思議と癖っ毛のままだったね。
それが人工と天然の違いなのかな。
僕はパーマをかけた事もないし癖っ毛でもないから、分からないけれど。


