『ごめん、ごめん。』
『ごめんなさい。』

(ねぇ。何でそんなに謝ってるの?)

-------Rin's side -----------------------------------------

「……んっ。」
(今のは、夢??)

「リン、おはよ。」
「ふぇ、あっ、おはよー。」

 私は寝てしまったらしい。魔法を使ってからの記憶がない。

「!!わっ。何これ?!樹?」
「うん。」
「大っきい樹!!!」

 自分の何倍もある樹が私の後ろにどっしりと立っていた。白い幹に緑色の葉がついて、とてもきれいな樹だ。
 そして、何故か少し懐かしい感じがしたのも事実だ。

(…よくわかんないから黙っておこう。)

「リン。さっきの魔法なんだけど。」
「どうなったの!?」
「うん。……出てきて。」

 彼の肩から小さな妖精が顔をのぞかせた。

「……かわいい。♡」
「初めまして。僕セインです!"僕"って言ってますが、女の子です。」
「よろしくねー!♡♡」
(あぁ。かわいい。)

 自分たちの魔法でほんとに人(妖精)をつくりだしてしまった。改めて、彼はすごいなぁと思う。

「本当にありがとうございます。僕は2人から造られた生まれてくるはずのない存在です。でも、生まれてきたからには2人の悲しい顔、見たくないです。だから、笑ってください。」
「……セインは優しいね。ありがと。」

 先に声をかけたのは彼だった。正直、私はなんでセインがそんなことを言うのかわからなかった。
 たしかに、ここがどこなのかわからないし、不安もたくさんあるけど、すごく辛いわけではないし……。

 優しいか。優しい、やさ、し………。

「リン?」

 私は、彼の手を握った。

「冷たい。」




------- Boy's side ----------------------------------------


 
 突然、リンは俺の手を握った。

「冷たい。」
「!!?」

 とっさに下を向く。もちろん、顔を真っ赤にしているのを見られたくないからだ。なのに、セインが小声で。

「顔、りんごみたいですよ。笑」
「うるさいっ。/////」

「あのね。小さい頃、教えてもらったんだ。手が冷たい人は、心が暖かい人なんだって。」
(あれ?これって、俺が言った言葉だ。)

「誰だか思い出せないんだけどね。」

 必然なのか偶然なのか、俺が話した言葉だということは思い出せないらしい。でも、少しだが記憶が取り戻せたというのは素直によかったと思う。

「私がその話を聞いた時もこうやってその人の手を握ってたんだけど、君と同じ暖かさだった。そして、その人の冷たい手さえも暖かくしてあげたい。そんな人に出会ったの。」
「えっ。」

「私は、君を助けたい。優しさをそのままに、冷たくなったこの手を暖かくしてあげたい。」
「僕もです。早くリンさんみたいな暖かい心でいっぱいになってほしいです!」
「みんな一緒なら、きっと冷たいところもすぐ溶けちゃうよ。」
(…やっぱり、一緒だ。)

 小さい頃のリンにも似たようなことを言われた。その時も今のような胸の辺りがぽわぽわと暖かく心地よい気持ちになったことを覚えている。

「うん。ありがとう。」


「そうだ!まだ聞いてないよね。君の名前。」
「……知りたい?」
「うん。」

「じゃ、ヒント!!俺はリンを守る人。」
「えっ。」
「 ( ´﹀` )」

------- Rin's side ----------------------------------------


 いきなりの告白でした。