青い空、キラキラ光る太陽、そして辺り一面白の世界が私の目の前に広がった。
 これが私の世界が色づいた瞬間だった。

------- Girl's side ----------------------------------------

 私は空を見上げた。青い空とキラキラ光る太陽。そして、もう1つ光るものがあって、それが少しずつ大きくなっていくことがわかった。

「……いたっ。」

 おでこがヒリヒリする…。ゆっくり落ちてきたから避けることが可能だったにもかかわらず、光に見とれて頭にそれをぶつける私はたぶん相当なバカだ。
 そのバカな私の頭の上に落ちてきたのはピアスだった。
「…ピアス。……上から??(¯―¯٥)」

 不思議なことに、周りは誰もいない。聴こえるのは、わずかな風の音だけ。

(…きれいなピアスだなぁ。)

 そんなことを思っていたときだった。

「ねぇ。俺のピアス知らない??」
「えっ。」
「!!?」

 声をかけられた。
 何か言いかけたみたいだったけど、私の耳には届かなかった。だって…

「…すごい。飛んでる。」
「君も飛べるよ。」

 …人間にはあるはずのない羽で、空を飛んでいるのだから。


「はい。これ、あなたの??」
「うん。ありがと。」

 そのとき、真っ黒なフードから前髪が少し見えた。

(あっ。この人の髪、琥珀色だ。きれい。前髪がフードから少し見え…)

「!!」

 目が合った。ピアスを渡してるから、彼との距離がすごく近くて、少し緊張した。
 私は顔を真っ赤にして目をそらした。

------- Boy's side ----------------------------------------

 ピアスを拾ってくれた女の子に、俺は見覚えがあった。

「…すごい。飛んでる。」

 キラキラした目でこっちを見ている。

(小さい頃と同じ目してる…。笑)

 このとき、今目の前にいる女の子があの時の女の子であると確信した。一度も忘れたことはなかった楽しい思い出。いつかもう一度会いたいと思っていた。そして、守らなくてはならない。

「君も飛べるよ。…絶対に守るから。そして、あの世界に帰すよ。」

 聞こえないように、音量を最小限にして言った。


「はい。これ、あなたの??」
「うん。ありがと。」

 俺たちはあの頃、とても仲の良い友達だった。

(離れてみて、君の大切さを思い知った。)

 …遅すぎるよ。でも、だからこそ今の時間を大切にしたい。そう思って、思わず見つめてしまっていたら、目が合った。
 恥ずかしそうに顔を真っ赤にして目をそらした。それを見て、俺は笑いかけた。