「須知ちゃんは女の子なんだから。

女の子が躰を冷やすのはよくないと思ったからカイロを出したの」

そう言った内場さんに、辻本さんはチェッと呟いた。

女の子って…まあ、性別はそうではありますけれども。

だけど内場さんに女の子と言われて、それに対して照れくさいと思っている自分がいた。

「はい、持ってなよ。

温かいよ」

内場さんはそう言ってまたカイロをわたしの前に差し出してきた。

「でも、内場さんが寒いんじゃ…」

呟くように言ったわたしに、
「俺はもう充分温まったから」

内場さんはそう答えて、わたしの手にカイロを持たせた。

温かかった。

「おっ、ようやく俺たちの出番がきたぞ」

辻本さんの声に前に視線を向けると、賽銭箱はすぐ目の前にあった。