目が覚めると、ベッドにいた。

全身包帯だらけ。

特に肩の傷にはしっかりとした処置が施されていた。

身を起こそうとして。

「駄目っ!」

巽は環に体を押さえられた。

「寝てて下さい!起き上がる事は許しません!」

それは、普段の環からは考えられない強い口調。

彼女がどれだけ、巽の身を案じていたかが窺える。

「環…」

「怪我が治るまでは、ここにいて下さい。欲しいものがあったら、全部私が買ってきてあげますから。絶対にここから外に出ないで下さい」

そう言って。

環は横たわったままの巽にしがみ付いた。