人気の少ない雑居ビルだったが、大通りにまで出れば何とかなる。

歌舞伎町は昼夜を問わず往来があるのだ。

交番も数多く存在する。

巡回の警察官も多いだろう。

全身傷だらけ、両手を手錠で繋がれた巽を発見すれば、必ず保護してくれる。

事実、ボロボロの姿のまま大通りに出て、倒れ込むと。

「きゃあっ?」

その姿を見つけた若い女性が悲鳴を上げた。

何事かと集まって来る人だかり。

「どうしたっ?」

「うわっ、血塗れじゃねぇかっ!」

「兄さんどうした!喧嘩かっ?」

「誰にやられたっ?」

そうやって群がる野次馬達に気付き、巡回中の警察官2人が駆けつける。