オルロフは踵を返す。

「腹が減った。飯でも食いに行くか」

オルロフは仲間数人を連れて、部屋から出ていく。

見張りには1人残しておいた。

「殺さない程度なら遊んでやっていいぞ?」

オルロフの冗談で、仲間達が笑い声と共に去っていった。

見張りに残されたのは、よりにもよって一番体格のいい男だった。

髭面で、丸太のような腕を持っている大男。

その腕には、髑髏だか死神だかの刺青が彫られている。

巽よりも遥かに大柄な白人だった。

その腕っ節に似合わず。

「へへ…」

男は床に無造作に置いてあった電動ドリルを手に取った。

拳銃型のドリルで、引き金を引くと尖端が高速回転する。

本来、硬い木材などに穴を開ける用途で使うものだ。