「可愛げないなあ、巽ぃ」

オルロフは巽の腹を蹴り上げる!

如何に日々鍛え上げられた巽の強靱な腹筋でも、相当に堪える。

手錠で天井からぶら下げられた巽の体が、前に後ろにユラユラと揺れた。

それでも声は上げない。

「泣きっ面見せて、命乞いの一つもすれば、気が変わって楽に殺してやろうかなって思うかもしれないのに。突っ張ったって痛い目見る時間が長引くだけだぞ?どうせ死ぬなら、一思いに殺してほしくないか?」

「……」

「まぁいいけどな、俺にはそういう趣味ないけど、マゾだって世の中にはいる訳だし」