新宿歌舞伎町。

東洋最大の歓楽街と呼ばれるこの街は、商売人にとっても激戦区である。

道行く人々は、商売人にとっては全て客であり、彼らを唸らせる事が出来なければこの街では生きていけない。

満足いくサービスのできない者は、淘汰されていくのみだ。

舌を満足させ、品質で満足させ、心配りで満足させる。

どんなにデジタル化の進んだ現代でも、人と人との関わり合いだけが、この街で生き延びていく唯一の方法。

それが出来ない者は、この街から棲み処を追われ、消え失せていくしかない。

年間、数多くの店舗が開店しては、生き残る事が出来ずに閉店していく。

そんな兵どもの夢の跡。

この歌舞伎町には、使われていない雑居ビルの空き室が幾つも存在した。