「でもいいんじゃない?」

美奈は言う。

「そのサイトは結局なくなったんでしょ?銃を売ったりできないって事じゃない」

「いや」

倉本は首を横に振った。

「死の商人というのはそういうものじゃない。ネット販売というのは、一つの手段に過ぎない。サタデーナイトスペシャルと呼ばれている銃があった。トカレフという拳銃の粗悪品なんだが」

その銃は、ある高速のパーキングエリアで、土曜の深夜に、何と手売りされていたのだという。

その事を知っている者だけが、土曜の深夜にそのパーキングエリアに出向き、現金で銃を買っていたのだとか。

「信じられないわね…拳銃を直接手売りなんて…」

絶句する美奈。

「そういう手段もあるという事だ…流通ルートは一つだけではない…自分は事件が解決したとは思っていない」

倉本は険しい顔をした。