オルロフの足取りが摑めないまま、一週間が経過した。

巽が毎日パソコンのモニタを睨んでいる。

今もアングラサイトを回り、オルロフの手掛かりとなりそうなものを探しているのだ。

「倉本さんはやらないの?サイト回り」

診療所。

倉本にコーヒーを出しながら、美奈は問い掛ける。

「自分はパソコンやスマホは苦手でな」

コーヒーを受け取る倉本。

彼の所有しているのはガラケーだ。

一時期スマホを持っていた事もあったが、どうにも馴染めなかったとの事。

「完全無欠の倉本さんにも、機械音痴って弱点があったのね」

「……」

クスクス笑う美奈に、倉本は憮然とした。