「それじゃあ」

巽は傍らに停めていたバイク、GSX1100S KATANAに跨る。

「送ってやれないが気を付けて帰れよ。変なのに絡まれるな?」

「大丈夫ですよ、絡まれたら巽さん助けに来てくれるでしょ?」

にこやかに言う環。

「絡まれるの前提で話をするな」

「あいたっ」

環の頭をコツンとやった黒のフルフェイスヘルメットを被り、巽はバイクに火を入れる。

静かな銀杏並木の公園に似つかわしくない、獣のような咆哮を上げるKATANA。

黄金色の葉を撒き散らしながら。

「じゃあな」

バイクを駆って、巽は走り去っていった。