たまのオフなのだ。

学校に行くなり買い物に行くなり、好きな事をしろという巽に対し、環は一緒にいる事を選んだ。

「巽さんも忙しい身じゃないですか。一緒に居られる時は一緒に居たいです」

「一緒にいるのがおかしいんだ。お前はアイドルで、俺は現役の…」

言いかけた時、巽の革ジャンのポケットでスマホが着信した。

ぶーっ、と。

環の頬が膨れる。

「そういう訳だ。お前の甘ったるい恋人ごっこに付き合ってられない」

「ごっこって何ですかぁー」

鼻を摘まもうとする環の手を払いのけ、巽はスマホの通話ボタンを押す。

「刑事部長、事件スか」

そう、巽 英二は警視庁捜査一課所属。

警察関係者や犯罪者達の間で、『野獣』の異名で恐れられる刑事だった。