倉本も巽も、亮二も松岡も。

目の前の相手に集中するあまり、周囲が見えていない。

こんな絶好の狙撃ポイントにいるオルロフに、気付いていないのだ。

「くくっ…無様だよな」

オルロフは銃を構えたまま、ほくそ笑む。

散々馬鹿にされたものだ。

認識が甘いとか、暗殺者は銃など扱わないとか。

所詮死の商人は『商売人』であって『殺しのプロ』とは違う。

亮二達も、倉本達も、明らかにオルロフを見下していたのだ。

この世の中で最強の武器である銃を扱うこの自分を、格下のように見ていた。

オルロフはそれが我慢ならなかった。