「景子ちゃんは、純然たる現実を話しただけだよ」

金髪のロングヘアを掻き揚げ、奈美が微笑んだ。

「萎えるんだよ、仕事前にそういう話をされると」

舌打ちする松岡。

「あれ?萎えるんですかぁ?松岡さんにも人並みの良心が残ってるんですねぇ」

クスクス笑う奈美。

「奈美テメェ、揉むぞ」

両手をワキワキさせる松岡。

じゃれ合う彼らを一瞥もせず。

「受けた依頼は完遂する。その事に変更はない」

亮二は呟いた。

「暗殺依頼の背景や人間関係などどうでもいい。俺達は金を受け取り、指定された標的を抹殺し、処理報告を行うだけ。モラルや倫理など関係ない」