美奈の診療所。

深夜になり、一般の通院患者も途絶える。

「んーっ」

椅子の背凭れに体を預け、大きく伸びをしながら、美奈は一日の疲れを吐き出すように声を上げた。

「ご苦労だったな。医者ってのもなかなか激務だ」

ベッドに横たわったまま、巽が言う。

「少しは見直したかしら?いつも貴方達相手に油を売ってる訳じゃないのよ?」

そう言ってクスッと笑う美奈。

悪態をついてはいるが、巽も倉本も、彼女の確かな腕で、何度も重傷から復帰している。

美奈がいなければ命に関わる怪我を負った事も少なくない。

女という性別で判断する事なく、巽も倉本も美奈を信頼していた。