とはいえ、そろそろ潮時か。

オルロフは考える。

そもそも、一度は捕らえた巽に逃げられた時点で、日本からはオサラバしようと考えていたのだ。

それが思わぬ長居になってしまった。

これ以上の日本滞在は、ヤバイ事にしかならない。

あの倉本という刑事に一泡吹かせてやりたかったが、まぁいい。

日本から逃亡してしまえば、奴はどうせ追っては来れない。

「逃げ切れば俺達の勝ちだ」

オルロフの言葉に頷く仲間達。

その言葉に。

「お前達はあの男を過小評価しているな」

闇の中から声がした。